- 節税対策としてMS法人が有効と聞いたけれど、仕組みがよくわからない
- 医療法人と何が違うのか、自分のクリニックに必要なのか知りたい
医院経営を行う中で、このような疑問をお持ちではありませんか?
MS法人(メディカル・サービス法人)は、うまく活用することで、節税だけでなく、事業承継や経営の多角化に大きな効果を発揮します
この記事では、MS法人の基礎知識からメリット・デメリット、設立の判断基準までをわかりやすく解説します。
1.MS法人(メディカル・サービス法人)とは?
MS法人とは、法的な定義ではなく「医療機関の業務のうち、医療行為以外の『経営・管理部門』を担う一般法人(株式会社や合同会社)」の通称です。
医療法人は「医療行為」に専念し、MS法人はそれをサポートする「ビジネス」を行う。
このように機能(とお財布)を分けることで、効率的な経営を実現する仕組みです。
医療法人とMS法人の違い
| 項目 | 医療法人 | MS法人 |
|---|---|---|
| 主な役割 | 診療・治療 | 経営サポート |
| 設立のハードル | 高い(認可制) | 低い(登記申請) |
| 事業内容 | 医療・介護などに限定 | 自由 |
| 資金調達 | 融資・寄付 | 株式発行・社債 |
| 配当 | 禁止 | 加納 |
2.MS法人ができること(具体的な業務例)
MS法人は医療法人のような業務制限がないため、多岐にわたるビジネス展開が可能です。
ここでは、代表的な活用事例を5つのカテゴリーに分けて詳しくご紹介します。
① 「モノ」の管理・調達・賃貸(資産管理)
最もポピュラーな活用法です。医療機関運営に必要な「設備」や「物品」をMS法人が保有・管理し、クリニックへ提供します。
医療機器・車両のリース
CT、MRI、ユニット(歯科)などの高額医療機器や、送迎車・往診車をMS法人が購入し、クリニックへ賃貸(リース)します。
減価償却費をMS法人に計上し、クリニック側の資産リスクを軽減します。
医薬品・消耗品の一括購入・在庫管理(SPD業務)
注射針、ガーゼ、事務用品、衛生用品などをMS法人がメーカーから一括仕入れし、必要な分だけクリニックへ卸します。
在庫管理の手間を削減(アウトソーシング)し、仕入れルートの一本化を図ります。
リネンサプライ・クリーニング管理
白衣、シーツ、タオル等のクリーニング契約管理や交換業務を行います。
② 不動産運用・施設管理
不動産は金額が大きく、相続対策や資産形成において重要な意味を持ちます。
クリニック用地・建物の所有と賃貸
MS法人が土地・建物を取得し、医療法人から毎月「家賃」を受け取ります。
院長個人で持つよりも、修繕費等の経費計上がしやすく、相続時の評価額対策にもなり得ます。
社宅(ドクター・スタッフ用)の保有・管理
院長や勤務医、スタッフが住むための住居をMS法人が契約・保有し、社宅として提供します。
駐車場の管理
患者様用駐車場の契約管理や、コインパーキングの運営などを行います。
内装工事・ビルメンテナンスの契約代行
清掃業者や警備会社との契約窓口となり、一括管理します。
③ 窓口業務・事務のアウトソーシング(業務効率化)
「医療行為」以外の事務作業をMS法人へ外注することで、クリニック本体は診療に集中できる環境を作ります。
経理・会計・給与計算の代行
日々の記帳、スタッフの勤怠管理、給与計算などのバックオフィス業務。
レセプト請求事務の代行
レセプト作成や点検業務の請負。
集患マーケティング・広報活動
ホームページの制作・更新管理、SNS運用、Web広告の出稿管理、看板の設置計画など。
受付・医療事務スタッフの派遣
MS法人で雇用した事務スタッフを、業務委託契約に基づいてクリニックへ派遣します。
採用・教育コストの分散や、人事労務リスクの切り分け。
④ 物販・新規サービスの展開(収益源の多角化)
医療法の規制を受けないMS法人だからこそできる、積極的な営利活動です。
サプリメント・ドクターズコスメの販売
クリニックの窓口や、MS法人が運営するECサイト(ネットショップ)での販売。
医療法人は「院内での窓口販売」は可能ですが、広く一般に向けた「通信販売」などは制限されるケースがあるため、MS法人が適しています。
コンタクトレンズ・眼鏡の販売
眼科に隣接するコンタクトレンズショップの運営。
健康食品・育毛剤等の開発・販売
オリジナルブランド(PB商品)の企画・開発。
カフェ・売店の運営
病院内のコンビニ、カフェ、レストランの経営。
⑤ その他の専門的サービス
経営コンサルティング
経営戦略の立案、スタッフ研修の実施、接遇指導などに対し、指導料を受け取ります。
フランチャイズ(FC)本部の運営
分院展開をする際、MS法人をFC本部とし、ノウハウ提供や商標管理(ロイヤリティ収入)を行います。
介護・福祉事業
有料老人ホーム、グループホーム、訪問介護ステーションなどの運営。 医療と介護の連携による地域包括ケアシステムの構築。
3.MS法人を設立する3つのメリット
① 所得分散による「節税効果」
院長個人の所得が高い場合、税率も高くなります(累進課税)。
MS法人を設立し、家族を役員にして報酬を支払うことで、所得を分散させトータルの税負担を軽減できます。
また、法人ならではの経費計上が可能になる点も魅力です。
② 事業の多角化・資金調達
医療法人の枠組みでは難しかった「不動産投資」や「物販事業」、「介護・福祉事業」などへスムーズに進出できます。
また、株式発行による資金調達が可能になり、銀行融資以外の資金ルートを確保できます。
③ 円滑な「医業承継・相続対策」
医療法人の理事長は原則として「医師」である必要がありますが、MS法人の代表は医師免許が不要です。
医師ではないお子様や親族にMS法人(資産管理会社)を承継させることで、スムーズな資産の引き継ぎや、生前贈与による相続税対策が可能になります。
4.設立前に知っておくべきデメリット
メリットが多い一方で、運用を間違えるとペナルティを受ける可能性があります。
税務否認のリスク
「実体のない業務」への報酬や、「相場とかけ離れた高額な取引(家賃やリース料)」は税務調査で否認される可能性があります。
適正価格での取引が必要です。
消費税のコスト増
医療法人とMS法人の取引には消費税がかかります。
保険診療(非課税売上)がメインのクリニックでは、支払った消費税が控除しきれず、コストが増加するケースがあります。
ランニングコストの発生
法人設立費用に加え、日々の税理士報酬、均等割(赤字でもかかる税金)、社会保険料などの維持費がかかります。
5.MS法人の運営に関わる法規制(注意点)
健全な運営のために、以下の規制を守る必要があります。
役員の兼務禁止
原則として、医療法人の理事長などが、利害関係のあるMS法人の役員を兼務することは禁止されています(利益相反取引の防止)。
商取引の報告義務
医療法人とMS法人の間で一定規模の取引がある場合、行政への報告義務が生じます。
透明性の高い運営が求められます。
まとめ:MS法人はこんな先生におすすめ
MS法人は「ただ作れば節税になる」ものではありませんが、目的を持って活用すれば経営の強力な武器になります。
【検討すべきタイミング】
- [check] クリニックの利益が増え、税金対策を本格化したい
- [check] 医師ではない家族に、資産や給与を分配したい
- [check] 医療以外のビジネス(物販や不動産)を展開したい
- [check] 医療機器や建物の管理を法人化してリスク分散したい
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