医療法人の設立に向けて具体的に動き出す先生方へ。
京都府の認可審査基準をもとに、申請をスムーズにパスするための実践的なチェックポイントを分かりやすく解説します。
基本要件をおさらいしつつ、行政がどこを厳しく見ているのかを確認していきましょう!
1. 一般的事項:名前と場所の細かなルール
法人化の第一歩である名称と所在地ですが、京都府では以下のような指導事項(ルール)が設けられています。
医療法人の名称に関する要領
名称中には必ず「医療法人」の文字を使用します。
原則として「医療法人(社団・財団)○○会」や「医療法人(社団・財団)△△診療所、△△医院」とします。このとき「△△」には、原則として理事長の氏名を使用することとされています。
既存の医療法人と紛らわしい名称は使用できません。
世界、ワールド、グローバルなど、誇大な名称はNGです。
ローマ字や英語等の表記は望ましくないとされています。
「医療法人△△診療所」とする場合は、開設する診療所の名称も同一にするのが望ましいです。
事務所の所在地
京都府内であることはもちろん、登記簿謄本や印鑑証明書等と一文字もズレがないよう正確に記載されている必要があります。
設立代表者と趣旨
設立代表者は理事長と同一人でなければなりません。
また、設立の趣旨がモデル定款と同趣旨であり、営利目的など医療法に反する内容でないことが厳しくチェックされます。
2. メンバー(役員・社員)に関する審査基準
人に関する要件では、関係性や資格のクオリティが細かく見られます。
役員数と減員認可
原則は「理事3人以上、監事1人以上」です。
ただし、常時医師が1人又は2人勤務する診療所を1箇所のみ開設する法人に限り、理事の減員が認められます(その場合でも、可能な限り2名は選任するよう指導されます)。
監事(かんじ)の独立性
監事は、理事や法人の職員を兼ねることはできません。
可能な限り第三者とすることが望ましく、法人の決算に関わる契約税理士等も適当ではないと判断されます。
社員と出資の制限
社員は3人以上必要です(理事を減員する場合でも社員は3人必要なので注意してください)。
監事による出資は認められません。
未成年者の出資は親権者の同意があれば常識的な範囲で認められますが、営利法人の役員等による出資は認められません。
後継者の確認
理事長先生が高齢(概ね60歳以上)の場合は、審査の段階で後継者の有無について確認が行われます。
3. 設立財産に関する審査基準
元手となる財産やお金の安全性についての基準です。
土地・建物の現物拠出
病院または老健を開設する場合
土地か建物のいずれか一方が現物で拠出されている必要があります(原則として、信託銀行、不動産会社、不動産鑑定士の評価書が必要)。
診療所(クリニック)のみを開設する場合
賃貸借契約でも構いませんが、それが長期間で確実なものである必要があります。
持ち込める財産と評価方法
診療に必要な医療機械器具、薬品衛生材料、医業未収金などを拠出します(機械や備品はリースでも可)。
薬品衛生材料は仕入価格、機械器具や備品は減価償却した簿価、保証金は契約書に基づく額で評価します。
車両は、税務署で事業用割合100%として認められている事業用車両のみ拠出可能です。
個人的負債の持ち込み禁止
負債は、法人に移す財産の取得時に発生したもの(医療機器のローンなど)のみ引き継げます。
自宅兼診療所で診療所部分だけを拠出するような場合は、負債も按分しなければなりません。
引き継ぐ負債の額が、財産の評価額を上回らないことが原則です。また、多額の負債がある場合は確実な返済計画の提出を求められます。
4. 運営する医療施設(クリニック)の審査基準
クリニックそのものの名称や契約状況の審査ポイントです。
クリニックの名称(京都府ガイドライン)
「医療法人○○会」の場合、医療施設の名称は「医療法人○○会××クリニック」を原則とします。
「××」には人名を用い、既存の名称を引き継ぐ場合などを除き、地名は原則として使用しません(使う場合は「××+地名+クリニック」とする)。
その他、京都府・京都市・京都府医師会・京都府歯科医師会が定めたガイドラインに沿っている必要があります。
実績のクリア条件
一人医師医療法人の場合、原則として1年以上、同一地での個人の診療所としての実績が必要です。
賃貸借契約の期間と家賃
賃貸借期間は原則10年以上である必要があります。
ただし、個人診療所時代に一定の実績があり、自動更新条項がある場合は確実な契約とみなされます。
家賃(賃借料)の年額は、近隣相場と比較して高額でない必要があり、以下のいずれかの基準を参照します。
| 基準1 | 近隣の土地・建物(近傍値)との比較 |
|---|---|
| 基準2 | 土地は「相続税標準額(路線価等)× 6%」、建物は「固定資産課税標準額 × 12%(木造以外は10%)」の合計額 |
| 基準3 | 不動産鑑定書による評価 |
親族以外の第三者から借りる場合は、賃貸借権の設定登記をすることが望ましいとされています。
5. 収支予算(2年間)の作成基準
申請書に添付する「2年間の事業計画(収支予算)」は、正確かつリアルな数字が求められます。
もちろん、赤字の予算は認められません。
医業収入の算定根拠
ドンブリ勘定はNGです。
法人化の場合は「直近の確定申告書」や試算表、新規開設の場合は「(外来・入院)患者1人あたりの平均単価 × 1日延べ患者数 × 稼働日数」といった明確な根拠から算出します。
計算に出てくる割合(%)は、小数点第2位を四捨五入します。
計算式の正確性
各利益の差し引きに誤りがないか、以下の数式に沿って厳密にチェックされます。
医業利益 = 医業収入 - 医業費用
税引前当期利益 = 医業利益 + 医業外収入 - 医業外費用
当期利益 = 税引前当期利益 - 法人税等
当期末処分利益 = 当期利益 + 拠出金・繰越利益
申請時に必要なその他添付書類チェックリスト
審査要領に基づき、以下の書類の提出と確認が必要になります。
- 社員及び役員の名簿(出資額、現物出資の評価額を正確に記入)
- 不動産賃貸契約書(転貸禁止条項がないか確認)
- 固定資産評価証明書 または 不動産鑑定書
- 不動産登記簿謄本
- 医療機械器具のリース契約書写し(原本照合が必要)
- 原本照合証明書(一括処理する場合、設立代表者の記名・押印、年月日が必要)
医療法人の設立認可は、クリアすべき基準が多く複雑に見えますが、一つひとつ京都府の要件を紐解いていけば必ず形になります。
スケジュールに余裕を持って、確実な準備を進めていきましょう!
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